気になる終活!まずはエンディングノートを作ってみよう!

「終活」という言葉を耳にする機会が増えましたが、実際に何から始めればいいのか分からない…そんな方も多いのではないでしょうか。
今回は、終活の第一歩としておすすめしたい「エンディングノート」について、行政書士の視点からわかりやすくご紹介します。
そもそも「終活」ってなに?
― 人生の最終章を前向きに準備するということ
終活とは、「人生の終わりに向けた活動」の略語です。
医療・介護・相続・葬儀など、人生の最終段階に関わることを自分自身で整理し、家族や周囲の人に負担をかけないように準備することを指します。
しかし、終活は決して「死に向けた暗い準備」ではありません。むしろ、自分らしい生き方を最後まで貫くための前向きな取り組みです。
自分の想いや希望を形にすることで、安心感や心の整理にもつながります。
エンディングノートとは?
― 遺言書との違いと役割を知ろう
個人的な話で恐縮ですが、私は実際に父からのエンディングノートを受け取った経験があります。
その経験が本当に幸せだったことから、ご相談者には積極的にエンディングノートの活用をお勧めしています。
父のエンディングノート。私に宛てた、父の最期を託す手紙。それは紛れもなく、最愛の一人娘への、最後のラブレターでした。
父は最期をどのように送ってほしいのだろう、私にどうしてほしいだろう、というのが過不足なく伝わる手紙でした。
最期まで父らしい、私にとっては宝物となるエンディングノートでした。
エンディングノートは、終活の中でも最も気軽に始められるツールです。自分の人生の記録や、万が一のときに伝えたいことを自由に書き留めるノートで、法的効力はありません。
一方、遺言書は法的効力を持ち、財産の分配などを正式に指定する文書です。エンディングノートは「気持ちを伝えるノート」、遺言書は「法的に指示する文書」と考えると分かりやすいでしょう。
自分の遺産を特定の個人に贈りたい、自分の亡き後に親族間で揉めてほしくないなど、法的な形で思いを残しておきたい場合は、エンディングノートではなく、きちんとした遺言の形で文書を残されることをお勧めしています。
エンディングノートに書くべきこと
― 基本項目から気持ちの整理まで
エンディングノートには、以下のような内容を書くとよいでしょう:
- 自分のプロフィール・家族構成
生年月日、住所、家族の名前や連絡先など。災害時や緊急時にも役立ちます。 - 医療・介護の希望
延命治療の希望、介護施設の希望、かかりつけ医の情報など。 - 葬儀・お墓の希望
宗教・宗派、葬儀の形式、埋葬方法、墓地の希望など。 - 財産・相続に関する情報
預貯金、不動産、保険、借入金などの一覧。遺言書と併用することでスムーズな相続につながります。 - 大切な人へのメッセージ
家族への感謝、友人への言葉、伝えたい想いなど。心のこもった言葉は、残された人の支えになります。
エンディングノートを書くタイミングとコツ
― 思い立ったが吉日!無理なく始める方法
「まだ元気だから必要ない」と思う方も多いですが、元気なうちにこそ書いておくことが大切です。病気や事故は突然訪れることもあります。
書き方のコツは、「完璧を目指さないこと」。最初からすべて埋めようとせず、気になる項目から少しずつ書き進めていくのがポイントです。一度書いたら完成!というわけではなく、季節の節目や誕生日などをきっかけに、見直しながら何度も更新していくのがお勧めです。
市販・無料のエンディングノートの選び方
― 自分に合ったフォーマットを見つけよう
エンディングノートは、書店や文具店で市販されているもののほか、自治体や金融機関が無料で配布しているものもあります。内容やデザインはさまざまなので、自分の目的や書きやすさに合ったものを選びましょう。
もちろん、法的な効力はないので、書き方の決まりはありません。ちなみに、私の父のエンディングノートは父のスマホのメモにありました。
お手持ちのノートに自由に記入しても構いませんが、遺された家族が見つけやすいことも大切。表紙に「エンディングノート」や「遺された家族へ」などと記入しておくのもいいですね。
行政書士としての経験から言えば、「書きやすさ」と「項目の網羅性」が重要です。必要な項目が整理されていて、自由記述欄もあるエンディングノート専用のノートを使用するのが、書き漏らしがなく理想的です。
書いた後はどうする?
― 保管・共有・定期的な見直しのすすめ
せっかく書いたエンディングノートも、誰にも知られずにしまい込んでいては意味がありません。信頼できる家族や友人に「書いたこと」を伝え、保管場所も共有しておきましょう。
また、人生の状況は変化します。定期的に見直し、必要に応じて更新することで、常に「今の自分の希望」を反映させることができます。
行政書士がサポートできること
― 書き方のアドバイスから法的手続きまで
エンディングノートは自由に書けるものですが、「どう書けばいいか分からない」「相続や遺言とどう関係するのか不安」といった声もよく聞きます。
そんなときは、行政書士に相談するのも一つの方法です。書き方のアドバイスはもちろん、遺言書の作成や相続手続きなど、法的・実務的なサポートも可能です。
地域密着型の当事務所では、地元の事情や家族構成に配慮した提案ができるのも強みです。長野県でも、終活に関するご相談が増えてきています。
まとめ:未来の安心は「今の一歩」から
― エンディングノートで心の整理を始めよう
終活は、人生の終わりを見つめるだけでなく、「今をどう生きるか」を考えるきっかけにもなります。エンディングノートは、その第一歩として最適なツールです。
「気になるけど、まだ早いかな…」と思っている方こそ、ぜひ一度手に取ってみてください。書き始めることで、今後の不安が安心に代わり、心がすっと軽くなるかもしれません。